習い事ナビ 2015.11.20
【コーチインタビュー#7】子どもの「想像力」と「創造力」を伸ばす、コミュニケーション力(野原秀樹コーチ)
投稿者: 齋藤純子
MANY ABILITIES代表の野原秀樹(のはらひでき)さん。コミュニケーション力強化を目的としたチームビルディングなどの研修を、企業向けに数多く行っています。
ノビルコでは、野原秀樹コーチ協力のもと、お子様のコミュニケーション力を育む講座をスタートしました。コミュニケーションの大切さをお子様にワークを通して実感してもらうと共に、親と子のコミュニケーションの取り方を改めて見直してもらう場です。そのレッスンの内容と、子どもにとってのコミュニケーションの重要性についてお話をうかがいました。
自分の意見を伝え、相手の意見を受け入れる
実は”コミュニケーション力”というのは就職活動で、11年連続で企業がもっとも選考に要視しているポイントなんです。
ですから私は普段、社会人や大学生に研修をしているわけですが、本来はもっと幼少の時からこそ、こういった能力を伸ばせればいいのですが、現在の日本の学校教育や習い事では、そのような機会が非常に少ないと思います。どうしても暗記型の授業方式になってしまいますよね。そこでノビルコさんと私の研修を年長さん〜小学生の子どもを対象にしたものとして一緒にレッスンを手がけることにしたんです。
「想像」としてインプットしたことを、「創造」でアウトプットするレッスンです。想像で自分の中に芽生えた意見を、相手に伝えるための創造に変える。コミュニケーション能力は、相手の意見を上手に聴くだけの能力ではありません。お互いの意見を交わし認め合う能力です。その能力の向上のためには、まず自分の意見を持つことが必要です。
ノビルコのレッスンでは、様々なワークによって子どもたち同士が考え意見する場を作ります。例えば、「あ」のつく言葉を30秒間で思いつくだけ書いてもらう。一枚のイラストを見て、どんなシーンか大喜利のように考え記す。その後に、自分の答えや考えを皆の前で発表し、共有します。
対象年齢は7歳から12歳。7歳くらいから、自分の考えを主張するだけでなく、お友達や先生の考えを認め受け入れることができるようになります。
レッスンで使用するワークは、どれも間違いや正解が無いもの。自分と同じ答えもあれば違う答えもある。自分と同じであれば共感し、異なれば「そういう考えもあるんだな」と気づきます。
親が子どもの意見を「認める」ことで、子どもは安心する
親子で行う理由は、レッスンによって引き出される姿を、お互いに見て欲しいという思いからです。お互いに「こういうところもあるんだ」と気づき、それを認めてあって欲しいと思います。
親は、つい我が子を他の子と比べてしまいがちです。しかし、他の子どもと違うところがその子の秘めたる力、個性でもあるので、認めてあげて欲しいと思います。ワークには、正否がない質問を選んでいるので、親は正しい・正しくないという尺度ではなく、子どもの意見として認めやすい。親に認められると子どもは、自分の出した答えに対して「これでいいんだ」と自信を得ることができるんですね。自信を得ることは自己肯定感につながりますし、「自分の意見を持っていいんだ」と安心感を得ることができます。
自分の意見を持つことは、自分を守ることになると考えます。自分の意見を持っていない人ばかりの集団は、強く意見をする人があらわれたとき、その意見に流されやすくなります。いじめの構造にもそういうところがあると思います。あの子を標的にしようと誰か強く意見する人があらわれたとき、意見がなければ、そういうものかなと流されてしまう。また、共にいじめることの一体感でいじめるもの同士仲良くなるので、その集団にはやく打ち解けたいと思っていると余計にいじめに流されやすくなるんですね。もしそこで誰か数人、強い意見に流されずに意見できる人がいれば、一体感が軽減されるので、いじめもエスカレートし難くなります。強い意見に流されない、いじめる側にならないためにも、意見をもって自分を守って欲しいと思います。
今の子どもたちが大人になる頃は、グローバル化が進み、よりコミュニケーションの力が必要とされる世界になるでしょう。自分が意見を言えなければ、世界の変化の中で、ただ流されるだけになりかねません。より広い世界で生きるための基礎的な力として、コミュニケーション能力を伸ばしていければと考えています。
ダンスやバレエで表現することの大切さを知る
私自身、子どもの頃は、工作などで何かを考えることが好きでした。同時に、人を楽しませることが好きで、笑いをとったり目立つことをするという、学級委員長や生徒会長になるタイプでしたね。
ジャズダンスとバレエと出会い、体で表現することの楽しさを知りました。ダンスブームの時代だったので、ディスコなど表現する場も多かったんですね。目立つことが好きだったので、踊ることで注目されることがうれしかった。次第にもっと上手くなりたいと思うようになり、クラシックバレエを習うようになりました。
クラシックバレエを習い、その論理的なメソッドに感銘を受けました。基礎からはじめだんだんと体ができあがると、習得できる技が増える。その段階が目に見えてわかり、とても理に適っているんですね。
ジャズダンスやバレエは言語が使えないので、非言語でいかに伝えるかについても学びました。その学びを得たことも、今の私の仕事に繋がっているように思います。
参照:
経団連「新卒採用(2014年4月入社対象)に関するアンケート調査結果」
<取材・文/齋藤純子>
■お話しを聞いて……
「子どもの発想ってほんとすごい」とノビルコのレッスンを終えて野原さん。「人それぞれの個性をお互いが認め合って活かしていく、どんな人とも仲良くやっていける、そういう人間になれるということを子どもに伝えたいんだよね」と熱く語る姿が印象的でした。
