習い事ナビ 2015.08.27
【コーチインタビュー#4】バレエを通じて、表現することの楽しさを学んで欲しい(法元美都子コーチ)
投稿者: 齋藤純子
「みとこバレエスタジオ」は、高田馬場と大泉学園を拠点とし、2歳から80代まで幅広い年齢層の方々がバレエに親しんでいます。子どもたちは、バレエを習うことで、体だけでなく、理解力や表現力も鍛えられるそう。コーチの法元美都子(ほうがみとこ)さんにお話しをうかがいました。
ますは、あいさつ。集中してレッスンに向き合う
教室に入ったらまず、相手の目を見て大きな声で『おはようございます』とあいさつすることからはじめます。声をだしてあいさつすることで、レッスンに取り組む姿勢が生まれ、レッスン中の指示に集中しやすくなります。
習い事を学ぶメリットは、(先生の)話しを聞く力・理解力の習得もあると考えます。
あいさつからはじめ、立ち止まって指示を聞いて理解し行動する。小さい子どもにとって、その訓練の場としてバレエは役立てられると思います。
バレエの動きは、実際に体を動かしてみると想像以上に複雑です。集中して指示を聞かなければ一連の流れを覚えられません。覚えたことを考えて行動に移すことで、はじめて自分の体で表現することができます。
「お受験」対策として役立つことも
国公立・私立小学校の入学試験で「考えながら行動すること」を問われることがあります。「黄色のフルーツを3つ取って、平均台を渡ってから、赤い旗を2回振りなさい」などの指示が与えられ、「指示を理解し行動することができるか」を審査されます。
家ではできていても、他の場所ではできないということは子どもにもよくあります。バレエのレッスンを通じて、自宅とは異なる場所で他人に指示されることに慣れ、試験本番に役立つこともあるそうです。実際に当レッスンでも小学受験対策としてバレエに通うお子さんは多くいらっしゃいます。
「あいさつは先手必勝」という、私の好きな言葉があります。会って目を見た瞬間あいさつをすることで、先に相手の心を掴むことができます。これは社会に出たときにも使える武器になると思います。
レッスンの厳しさに耐え、やがて講師を目指すように
私は4歳からバレエを習いはじめました。保育園の友人がモダンバレエを習っていて、その所作や格好に惹かれたことがきっかけです。たまたま自宅から通える場所に著名な指導者である石川徳子先生の教室があり、ロンドン留学を挟みつつも23歳まで石川先生の元で指導をうけました。その後もご縁あって教室のお手伝いなどで関わらせていただき、今でも師匠として多くのことを教えていただいています。
石川先生のレッスンは厳しかったので、レッスンに行くのが嫌だと思った時も正直ありました。小学生の頃は特にそう感じていたようで、レッスン日が近づくとお腹が痛くなるなどの変調を来すことも。行きたくない、という気持ちが体に表れたんですね。何も忘れ物をしていないのに「忘れ物をした」と家に引き返したり。それを見かねた母は、先生からレッスンテープをいただき、それを見ながらレッスンに行く前に押し入れの棚をバーがわりにして、必ず予習をさせてくれた。「自分でやりたいと言ったバレエなのだから、踊れるようになるまでは、やめさせないわよ」と叱咤され、それをきっかけに、より努力をするようになりました。体を鍛えると心が強くなるということを身にしみて感じましたね。努力を重ねていくうちにバレエのことが本当に好きになり、小学4年生の頃にはバレエの講師になりたいと思うようになりました。
褒めることも大切に
厳しくすることで伸びるところもありますが、褒めることも大切だと考えます。私は小学生の頃、レッスンで先生に名前を呼ばれないということを2~3年経験しました。叱られもせず、褒められもせず、という状態です。理由は今でもわからないのですが、動きが小さかった私は目立たなかったのかもしれません。その時とても寂しく感じたこと、悩んだことは今でも思い出します。
レッスンで教えていると、より良くしてあげたいと思うあまり、できていないことに目がいきがちですが、誰にでも良いところ、褒めるべきところはあります。
集団でのレッスンでも、子どもたち一人ひとり公平に目を配り、必ず一度は褒めよう、体を触って想いを伝えよう。子どもたちに寂しい思いをさせないよう、そう決めています。
舞台発表に向けて練習することで、目標に向かって取り組む姿勢が生まれる
バレエのレッスンを通じ、バレエならではの世界観に触れて欲しいと考えています。
バレエは、総合舞台芸術です。手振り、視線、身体のラインで想いを表現します。小さい頃から舞台を踏むことで、より創造性や表現力を高めることができます。
「沢山のお客様の前で踊る」という経験は、日常ではなかなか得難いこと。その経験を通じて、てらいなく人前で発表や発言が出来るようになります。
バレエは日々のレッスンを積み重ね、舞台に立つまで練習を積むことによって、美しい所作、ひとつの課題に取り組む姿勢、諦めない心を養うことができると考えます。子どもたち一人ひとり、それぞれの可能性を最大限に引き出していきたいと、努めています。
<取材・文/齋藤純子>
■お話しを聞いて……。
「継続は力なり」が座右の銘という法元さん。ご自身の経験を通じ、すべての子どもたちに「やればできる」とエールを送っているように感じました。バレエは優雅で美しいけれどそれだけではない、頭で考えて行動すること、努力し続けることの大切さについても気づかせていただきました。
